競艇においてフライングは大問題
速さを競うスポーツにおいて、「フライング」はある程度つきものですよね。
フライングをしてしまったらペナルティを追うという競技もあります。
では、競艇でボートレーサーがフライングしてしまったら?
実は、競艇においてフライングは大問題なことなので、選手だけでなく舟券へも影響があるんです。
そこで今回は、フライングについて解説!
以下で詳しく説明するので、一緒にチェックしていきましょう。

フライングスタートとは別
ルールを知らず、初めて競艇を見た人のなかには「あれっ?後ろの艇はスタートしているのに、前にいる艇は止まったままだぞ?」と思った方もいるかもしれません。
一見、フライングにも見えるこのスタート。
しかし、このスタートはフライングではなく、「フライングスタート方式」と呼ばれる競艇ならではのスタート方式なんです。
フライングスタート方式とは、レーサーがそれぞれタイミングを計り、決められた時間内にスタートラインを通過するというスタートのこと。
ブレーキがなくモーターが動きっぱなしの状態の艇は、同じ場所・同じタイミングで「よーいドン」とスタートができないため、この方式が採用されているのです。
競艇におけるフライングは、大時計の指針が0秒を示すより早くスタートラインを超えてしまうことを言います。
フライング=スタート事故とも呼ばれる
競艇におけるフライングは、「スタート事故」とも呼ばれます。
これは競艇でボートレーサーがフライングしてしまうと、選手に大きなペナルティが発生し、舟券へも多大な影響があるからです。
選手へのペナルティや舟券への影響は、後ほど詳しく解説します!
フライングのほかに「出遅れ」も
スタート事故と呼ばれるものには、フライングのほかに「出遅れ」もあります。
出遅れとは、その名の通りスタートが基準より遅れてしまうこと。
競艇における出遅れの基準は、大時計の指針が1秒を過ぎてからスタートラインを通過してしまうことです。
出遅れの場合もフライングと同等のペナルティが課せられます。
勝つためには他の選手よりも速くスタートラインを通過したいが、フライングが怖いからと言ってスピードを調整しすぎると出遅れてしまう…。
一般人の感覚からすると、この0~1秒のわずかな間で助走しながらスタートを調整するというのはとても難しいものですね。
ボートレーサーは、いかに速く、よりベストなスタートが切れるかもレースでの課題になっています。
フライングした選手への罰則・ペナルティ
フライングや出遅れで発生してしまう、選手への罰則やペナルティ。
それぞれ、とても厳しいものになっています。
レースへの出場停止
まず、フライングをしてしまった場合のペナルティとして、レースへの出場停止が挙げられます。
レースへの出場停止は「斡旋停止」とも呼ばれ、一定の期間強制的に休まなければならないという罰則です。
なお、休まなければならない期間はフライングの回数によって異なります。
- 1回目のフライング…30日間
- 2回目のフライング…60日間
- 3回目のフライング…90日間
- 4回目のフライング…180日間
日数は加算方式なので、例えば同じ期に3回フライングをしてしまったら、1回目の30日と2回目の60日、3回目の90日を累計して180日間休まなければいけません。
賞典除外
賞典レースとは一般レースよりも賞金が高く、予選得点率が上位などの一部のトップレーサーしか出場できない特別なレースのこと。
優勝戦、準優勝戦、選抜戦などが賞典レースにあたります。
そして賞典除外とは、そんな賞典レースから除外されることです。
得点率がどれだけ高くても出場できなくなってしまうので、競艇選手にとってはかなりの痛手となるでしょう。
事故点の加算
ボートレースには、選手がフライングや出遅れなどのスタート事故、または反則を行った場合に加算される「事故点」というものがあります。
優勝戦でのスタート事故 | -30点 |
優勝戦以外でのスタート事故 | -20点 |
選手責任による失格、または欠場 | -10点 |
選手責任ではない失格、または欠場 | -0点 |
妨害による失格 | -15点 |
不良航法や待機行動の違反 | -2点 |
これらの得点を加算し、出走回数で割ったものが「事故率」と言います。
階級審査期間の事故率が一定の数値を超えてしまうと、階級が下がってしまうのです。
即日帰郷
選手がフライングをした場合、強制的に帰らされる「即日帰郷」というペナルティを課せられる場合があります。
即日帰郷は、1節間に2回フライングをしてしまった場合と0.05秒以上の非常識とされるフライングで適応されるものです。
この他、即日帰郷よりもペナルティが重い「即刻帰郷」や選手の体調不良や都合による「途中帰郷」があります。
万が一、即刻帰郷のペナルティを課せられた場合は、即座に競艇場から出て行かなければいけません。
グレードレースでの罰則
また、SG・G1・G2などのグレードレースでフライングした場合は以下の罰則があるので覚えておきましょう。
【SG優勝戦でフライング】
・斡旋が決まっているレース開催終了後、30日間(当期1本目の時)
・SGは休み期間消化後12か月間
・G1は休み期間消化後6か月間
【SG準優勝戦、賞金王決定戦トライアル、順位決定戦でフライング】
・斡旋が決まっているレース開催終了後、30日間(当期1本目の時)
・SGは4回出場不可
・G1・G2は休み期間消化後3か月間
【G1・G2優勝戦でフライング】
・斡旋が決まっているレース開催終了後、30日間(当期1本目の時)
・G1、G2は休み期間消化後6か月間
【G1・G2準優勝戦でフライング】
・斡旋が決まっているレース開催終了後、30日間(当期1本目の時)
・G1、G2は休み期間消化後3か月間
引退勧告も?
1節に4回目のフライングを起こしてしまった選手は累計360日間出場停止になると前途しましたが、この場合は事実上の引退勧告がされる場合があります。
それだけフライングは重大なことなのです。
フライングがリセットされる期間
フライングの回数はずっと加算されるわけではなく、ある時期になるとリセットされます。
それが5月と11月の期はじめ!
4月末や10月末は慎重なスタートをしていた選手も、5月や11月は思い切りのよいスタートを切るケースが増えるので覚えておくといいでしょう。
フライングした選手を知る方法
フライングをした選手は、出走表を見れば一目瞭然!
ボートレーサー名の横にある、F数がフライングの回数です。
例えばこちらの出走表では、岡崎恭裕選手、平本真之選手、毒島誠選手は「F0」と記載されているので、期内のフライング回数はゼロ。
宮地元輝選手や宇佐見淳選手、川崎智幸選手は「F1」と記載されているので、期内のフライング回数は1回です。
ちなみに、「L」は出遅れを表す記載になるので、併せてチェックするといいでしょう。
フライングした選手の舟券への影響
直近でフライングをしてしまった選手は、次のフライングを恐れてスタートダッシュが決めにくくなったり、スタートに自信が持てなくなったりします。
この心理は買い手にとっても影響し、「きっとスタートが遅れるだろうから予想から外そう」と舟券が買いにくくなるようです。
その結果、その選手が絡む舟券のオッズが高くなる場合もあります。
フライングしたレースの舟券はどうなるのか
フライングをしてしまった選手が絡んでいる舟券は、全額払い戻しになります。
フライングした選手が多すぎると、そのレース自体不成立になってしまうことも…。
これらの場合、購入した金額が戻ってくるので、舟券は最後まで破棄せず持っておきましょう。
舟券の返還方法
フライングしたレースの舟券は、通常の払戻金と同様に返還されます。
競艇場で払い戻す場合は、自動払戻機を利用しましょう。
スマートフォンWEB投票とインターネット投票の場合は払い戻しの手続きが異なるので、それぞれの画面で確認してください。
テレボートの場合は自動精算か清算指示によって返還ができます。
返還の有効期限は、翌日から60日間と決まっているので忘れずに返還してくださいね。
これまでのフライングに関する事故事例
みなさんの記憶に新しいのは、2021年3月2日に開催されたG1「開設67周年 浜名湖賞」ではないでしょうか。
このレースでは、全艇フライングの大惨事とも言えるスタート事故が起きました。
しかも、このレースは昨年の賞金王である峰竜太選手が出走していたレース。
峰選手を含む4名が非常識なフライングとされ、即日帰郷となったのです。
稀ですが、G2以下のレースでも全艇フライングという事故は起こっています。
2021年2月23日に開催された平和島競艇場でのレースや、2018年2月5日に開催された宮島競艇場のレースが該当します。
フライング事故での返還は、億を超えるケースもあります。
スタート事故でのレース不成立が、主催者の大きな痛手になることは言うまでもありませんね。
競艇とフライングの関係性
速さを競うスポーツにおいて、フライングはある程度つきものです。
そのため、新人選手だけでなく、ベテラン選手やトップクラスの選手もフライングしてしまう可能性はあります。
フライングの予想は難しいですが、選手の状態や適性、これまでのフライング歴をチェックすれば見極めることもできるかもしれません。
展示航走や出走表、選手データを見ながらレースの予想をしてみてくださいね。
競艇でフライングって、思ったより重い罰があったりするんすよ…!