競艇の不良航法を知る
レース終了後に、「不良航法」と発表されるのを目にしたことはありませんか?
コアなファンは「やっぱり不良航法取られたか~」と、納得するかもしれませんが、競艇初心者にとっては「そもそも不良航法ってなに?」という状態ですよね。
そこで今回は、競艇の不良航法について解説します。
不良航法の基礎知識から妨害失格との違い、過去不良航法を取られたレースの事例までご紹介するので、競艇初心者の方はぜひ参考にしてみてくださいね。
不良航法とは
まず、不良航法とはレースの進行を妨げる行為のことを指します。
レースの進行を妨げる不良航法は、「追い抜き違反」と「斜行違反」の2つ。
以下の表でチェックしてみましょう。
追い抜き違反 | 後ろに続く艇は先行している艇を追い抜く際、左方向に見て追抜くのが鉄則。これに違反した場合に追い抜き違反で不良航法を取られる。
※ただし、他艇の妨害があった場合、安全な間隔がある場合、その他やむを得ない場合のときはこの限りでない。 |
斜行違反 | 直線競争中、先行している艇や後ろに続く艇が進路変更した際に、あきらかに不利を与えたと判断される場合。
※競艇場によっては、そもそもバックストレッチ斜行を許可していないところもあり。 |
不良航法を取られるケースで最も多いのが、ターンマークでの内側からの突っ込みです。
後方の艇の無理な先マイや絞り過ぎが原因で、インコース側の艇に危険が及んだと審判に判断されたら不良航法を取られます。
他にも、旋回出口での悪質なダンプや、後続艇が先行している艇を後ろから強くつつく行為も不良航法と判断される場合があります。
悪質なダンプは不良航法
先程、「悪質なダンプは不良航法と判断される」と記載しましたが、そもそもダンプとは先行している艇との間に3~4艇身ほどの距離があるにもかかわらず、艇首を返さずあえて突っ込んで相手を飛ばし、その反動で前に出ることを指します。
これだけ聞くとダンプはすべて悪質と捉えられがちですが、安全な間隔があって、なおかつあたりが弱い場合は悪質とはみなされないので、不良航法にはならずペナルティは課せられません。
逆に安全な間隔がなく、相手を吹っ飛ばすほど危険で強いあたりがあった場合に悪質なダンプと判断されます。
不良航法を取られないダンプと悪質とみなされ不良航法を取られるダンプは、素人では見分けるのが難しいかもしれませんね。
不良航法のレース事例
ダンプは、ターンマークで旋回するときに起こることが多いのが特徴です。
先程の解説だけでは悪質とみなされるダンプの不良航法がわかりにくいかもしれないので、ダンプが悪質と判断され不良航法を取られた実際のレースをご紹介しましょう。
2021年6月に児島競艇場で開催されたSGグランドチャンピオン4日目4レースでのことです。
このレースは、枠なりから全艇0.6~0.9の絶好タイミングでのスタートになりました。
3号艇の西山貴浩選手は第1ターンマークでまくり差しを狙いましたが、同じくまくり差しを狙っていた4号艇の湯川浩司選手が上手くインに入り1-4-2の体型に。
そこから1-2-4-3と4番手でレースは進みましたが、2周目の第2ターンマークで先行している4号艇の湯川選手と接触してしまいました。
これが悪質なダンプと取られ、西山選手は不良航法と判定されてしまったのです。
このレースはファンの間で「これはあきらかに不良航法!」という意見と、「ちょっと微妙じゃない?」という意見がありました。
不良航法の点数が引き上げに?
不良航法は危険が伴う違反です。
そのため不良航法は「事故点」として減点対象になります。
不良航法の減点はちょっと前まで7点でしたが、2020年4月1日以降は10点の減点に引き上げられました。
人身事故抑止策として、なので減点引き上げも納得ですね。
ちなみに、予選で2度不良航法を取られた場合は賞典レース除外になります。
準優勝戦で不良航法を取られてしまった場合は賞典除外になり、賞典レースにも出走できなくなるのです。
妨害失格とは
危険が伴う違反行為に「妨害失格」というものがあります。
妨害失格は後ろに続く艇を巻き込んで、その艇が転覆または落水、エンストなど競走不能になってしまった場合に取られる違反です。
では、接近バトルによって自身が転覆してしまった場合はどうでしょう。
ルール違反に触れない接近戦のバトルによって自身が転覆した場合は、ほぼ自己責任の転覆として扱われます。
ただし、自身が転覆した結果、後続の艇を巻き込んでしまった場合は妨害失格になるのです。
おおまかにいえば不良航法は他の艇を意図的に飛ばす行為、妨害失格は他の艇に著しく不利を与え競走不能にする行為ということですね。
妨害失格も不良航法と同様に「事故点」として減点されるのですが、不良航法よりも5点多く、妨害失格と判定されれば-15点の減点になります。
妨害失格の場合、その一節間は賞典レースに出走できなくなります。
では、次で妨害失格のレース事例をみていきましょう。
妨害失格のレース事例
2020年3月に鳴門競艇場で開催された、レディースオールスター2日目12レースをご紹介しましょう。
このレースは、枠なりから0.11~0.24の正常スタートになりました。
最初の直線ではやや1号艇の平山智加選手と3号艇の岩崎芳美選手がリード。
インコースを走る平山選手が第1ターンマークで先マイを決めにかかりますが、まくりにいった岩崎選手と軽く接触してしまいます。
このとき2号艇の魚谷香織選手は4番手。
全艇スピードに乗ったまま第2ターンマークに差し掛かりますが、ここで2号艇の魚谷選手がターンマークに接触し転覆してしまいます。
ここで、後を追っていた6号艇の海野ゆかり選手が魚谷選手を避けてエンストを起こしてしまい、競走不能になってしまいました。
海野選手が走行不能になったことにより、魚谷選手に妨害失格判定がでたのです。
不良航法や妨害失格での舟券の返還
不良航法や妨害失格と同じ事故点扱いとなる、フライングや出遅れのスタート事故。
フライングや出遅れによるスタート事故の場合は欠場扱いになり、その艇が絡んでいる舟券は全額返還されます。
では、不良航法や妨害失格も同じように舟券返還されるのかというと、実はそうではありません。
レースがスタートしてから発生した不良航法や妨害行為は、返還対象にならないのです。
あわせて、不良航法や妨害行為を受けて大敗や転覆した場合も返還対象にはならないので覚えておきましょう。
ちなみに、ボートレース公式HPにある用語辞典「返還」によると、スタート後に起こった転覆、落水、エンストも返還対象ではないとのことです。
不良航法についてまとめ
今回は不良航法の基礎知識から妨害失格との違い、過去不良航法を取られたレースの事例までまとめてご紹介しました。
競艇は水上の格闘技とも呼ばれるスポーツで、毎回激しいバトルが繰り広げられます。
その中で激しい接近バトルが起こることも多々あり、その結果、不良航法や妨害行為が発生することも……。
ですが、不良航法や妨害行為はとても危険な行為なので本来あってはいけません。
ヒートアップすると手荒くなりがちですが、選手にはぜひフェアプレーで頑張ってほしいですね。
no related
審判が不良航法、と判定しているので結果は不良航法なんすけど…なんか腑に落ちないっすね