競艇選手はクビになる?
競艇選手になるには、まず合格倍率約40倍の養成所に入所し、入所後の厳しい訓練や試験に合格しなければ競艇選手にはなれません。
そんな競艇選手ですが、デビューすると年齢制限はなし。
では、年齢制限はないとはいえクビになることはないのでしょうか。
今回は競艇選手がクビになる条件を詳しくみていきましょう。
競艇選手がクビになる条件
・4期間の成績
・フライングや出遅れなどのスタート事故、妨害、選手責任失格、不良航法、待機行動違反などの事故
・4期間の通算出走回数
・不正による退会勧告
・1期間のフライング回数
4期間の成績による退会勧告
4期間で通算勝率3.8未満の選手に対して退会勧告がされます。
競艇における勝率の計算方法と着順点は以下の通りです。
勝率=着順点の合計/出走回数
レースの着順点(一般戦:G3)
1着 10点(予選〜準優) 11点(優勝戦)
2着 8点(予選〜準優) 9点(優勝戦)
3着 6点(予選〜準優) 7点(優勝戦)
4着 4点(予選〜準優) 6点(優勝戦)
5着 2点(予選〜準優) 4点(優勝戦)
6着 1点(予選〜準優) 3点(優勝戦)
SGはさらに2点加点、G1とG2は1点加点
登録から33年経過後4期通算勝率4,8未満
登録から長期間経ったベテラン選手になると、高い勝率を維持しないと退会勧告を受けてしまいます。
その条件がこの「登録から33年経過後4期通算勝率4,8未満」です。
事故による退会勧告
4期間で通算事故率0.7以上の選手に対して退会勧告がされます。
競艇における事故率の計算方法と事故点は以下の通りです。
事故率=事故点の合計/出走回数
事故点
優勝戦でのフライング、出遅れ -30点
優勝戦以外でのフライング、出遅れ -20点
妨害失格 -15点
選手責任の失格・欠場 -10点
選手責任外の失格・欠場 -0点
不良航法・待機行動違反 -2点
4期間の通算出走回数
通算の出走回数による規定もあります。
これがないと勝率を維持するために出走回数を減らすという事が出来てしまうからです。
これは4期間の出走回数が60回未満という条件になっています。
不正による退会勧告
不正整備や八百長などを犯すと即退会勧告を受けます。
不正整備による退会勧告で代表的なものは1988年9月、彦坂郁雄選手が整備違反により退会勧告。
彦坂選手は数多くの大記録を樹立しているスター選手であったため、整備違反による退会勧告を受けた時には競艇界に激震が走りました。
彦坂選手の代表的な記録は以下の通りです。
・ 期勝率一位回数:20回(歴代1位)
・連勝記録:37連勝(歴代1位)
・SG・GI優勝回数:77回(歴代1位)
・ 年間特別競走優勝回数:9回(歴代1位)
・優勝回数:179回(歴代1位)
整備違反により退会勧告を受けたとはいえとんでもない記録の数々ですね。
2020年1月には、西川昌希選手が親族と結託し八百長行為をしたことにより逮捕され、引退しています。
→競艇/ボートレースに八百長はある?怪しい選手や有名な事件についてまとめてみました
1期間のフライング回数
1期間で4度のフライングを犯すと退会勧告を受けます。
フライングは回数が多くなるにつれて、以下のように処分が重くなっていくようです。
フライング1回:30日間の斡旋停止
フライング2回:60日間の斡旋停止
フライング3回:90日間の斡旋停止
フライング4回:180日間の斡旋停止
フライング4回時点で規定により事実上の退会勧告となります。
4期間とは
競艇の退会勧告の条件に多く含まれる4期間という言葉。
この4期間についてみていきましょう。
競艇では1月〜6月、7月〜12月の半年ごとを「1期」と言います。
なので、4期間というのは約2年ということになるわけですが、1期間の出走回数が50回未満だった場合、その1期分は含まれません。
なので、ここでいう4期間とは1期間の出走回数が50回以上の期間が4期分ということになります。
引退回避を賭けて走った選手達
様々な退会勧告条件がある中で、引退を回避するためにレースに臨む選手が出場する事があります。
その中でも印象的な選手を何名か紹介しましょう。
深江 巴恵(ふかえ ともえ)選手
2021年3月20日、深江選手は4期通算勝率3,79%でこの日を迎えました。
先ほど紹介した通り、4期通算勝率3,8未満で退会勧告を受けます。
この日のレースで3着以内を取れないと事実上引退というレース。
2コースからの出走で見事3着でゴールし引退を回避しました。
小寺 拳人(こでら けんと)選手
2020年4月、小寺選手は3期目終了時点で退会勧告回避の勝率には程遠い状態でした。
子供も生まれたばかりだったそうです。
そんな中迎えた地元三国競艇での開催で、オール3連対の結果を残し退会勧告を回避しました。
黒沢めぐみ(くろさわ めぐみ)選手
2020年3月、退会勧告を受ける勝率3,80に満たない状態で迎えた若松オールレディース。
ここで黒澤選手はデビュー初優出、準優勝の快進撃で退会勧告を回避。
その後の期別勝率は4,79をマークするなど退会勧告ギリギリだったとは思えない走りを見せました。
現役生活が長い競艇選手
退会勧告を受けてしまう厳しい条件があるにも関わらず、競艇選手の中には長い現役生活を送った選手がたくさんいます。
代表的な選手を2名紹介します。
加藤 峻二(かとう しゅんじ)選手
加藤選手は1959年にデビューし、56年間の現役生活を送りました。
61歳で「SGボートレースオールスター」に出場。
71歳の時には地元戸田競艇で最高齢優勝記録を樹立するなど、まさに競艇界のレジェンド選手です。
現役中はフライングが極端に少ないことで知られ、長い現役生活で25回しかフライングを犯していません。
引退会見の際にも現役を退く理由を聞かれ、「地元戸田競艇でフライングをしたのが理由。体は元気でまだまだ走れるが、自分でもなぜフライングしてしまったか分からないから引退を決意した。」と言ったほど。
かっこいいですね。
高塚 清一(たかつか せいいち)選手
高塚選手はまだ第一線で活躍している現役選手で、現在74歳です。
2015年に加藤選手が引退した後は、現役最年長選手。
2013年1月に65歳10ヶ月で優勝し、当時は最年長優勝記録でした。
加藤選手が持っていた最年長勝利記録(73歳4ヶ月5日)も73歳4ヶ月5日の勝利で塗り替えました。
競艇選手になってからも大変!!
いかがでしたか?
競艇選手になるまでも非常に過酷ですが、なってからも大変なのがお分かり頂けたのではないでしょうか。
そんな中で長く現役生活を送り、第一線で活躍されている選手もたくさんいます。
若い選手から高齢のベテランレーサーまでが凌ぎを削るというのも競艇の大きな魅力の1つです。