勝率は3%?あえてアウトコースを狙う競艇選手達
イン屋の選手の記事で書いた通り、インを狙いにくる選手がいるほど競艇/ボートレースはインコースが強い競技です。
ただ、そんな中一番不利とされるアウトコース(5、6コース)を敢えて狙いに来るアウト屋と呼ばれる選手達がいます。
ちなみに全国に24ある競艇場によっても特性はりますが、全体的に見ても6コースからのスタートでの勝率は約3%ほど…。
一体なぜアウト屋のボートレーサー達はそんな苦難の道をあえて選ぶのでしょうか?
アウト屋になる理由
アウト屋となる理由は様々です。
まず1つ目は競艇選手は新人時代には6コースからスタートすることが基本となっているので、その流れでそのままアウト屋になる選手。
2つ目は競艇選手同士の上下関係の厳しさから、コース取りで煩わしい気遣いをするくらいなら、そもそもアウトコースを選んで、スタートに集中しようと思う選手。
他にもアウトコースからだとスタートタイミングが取りやすく、フライングのリスクが減るというメリットなどもあるようです。

アウト屋のボートレーサー
ここからは実際にアウト屋として有名な個性派ボートレーサーをご紹介していきます。
ミスターチルト3度 阿波勝哉選手
出典:https://www.boatrace.jp/owpc/pc/data/racersearch/profile?toban=3857
名前:阿波 勝哉(あわ かつや)
生年月日:1973年4月18日
出身地:東京都
階級:B1
支部:東京
登録期:第79期
登録番号:3857
身長:165cm
体重:57kg
阿波選手は、競艇界を代表するアウト屋といっても過言ではないほどの生粋のアウト屋です。
2005年にはファンからの熱い支持でSGデビューを果たし、SG初勝利も成し遂げました。
そして、そのアウトコースに対する徹底ぶりはコース別成績を見ての通り。
出典:https://www.boatrace.jp/owpc/pc/data/racersearch/profile?toban=3857
例え1号艇からの出走でも頑なにアウトコースから出走しているんです。
一体何の使命感が彼をそうさせているのか…。と思うほどの徹底ぶり。
そんな阿波選手がアウト屋になった理由は、新人が6コースから出走するという暗黙のルールに倣っていたところ、先輩レーサーである小川晃司選手が6コース専門でやっていたことから、自分にも出来るのではないか?と思いチャレンジしたことがきっかけだったそうです。
得意な決まり手は「まくり」で、アウトコースからトップスタートを決め、そのまま豪快に内側の艇を飲み込んでいくように外からまくっていくという、迫力あるレーススタイルでファンを魅了しています。
そしてそんなレーススタイルを支えているのが、「阿波仕様」と呼ばれる独自スタイルの整備。
阿波仕様とは
阿波選手のエンジン整備はチルトの角度がかなり独特なので、「阿波仕様」と呼ばれています。
一般的にチルトの角度はマイナス0.5度という角度が最もバランスが優れているといわれており、ほとんどの選手はこの角度を採用しています。
しかし、阿波選手は直線で驚異的な伸びを実現するために、チルトの角度を3度という規定最大の角度に設定。
チルトは跳ねれば跳ねるほどターンをする際に不安定になり、実際過去に阿波選手と同じチルト角度に設定した選手がターンで転覆してしまったこともありました。
そんな独特の仕様チルト3度を乗りこなしていることから、平和島実況では「ミスターチルト3度・6コースがマイポジション阿波勝哉」というフレーズがお馴染みとなっています。
ただ、スタートダッシュが命であることからフライングを切ることも多いです。
一時は期間に3度もフライングしてしまったことも…。
そして現在は持ちペラ制度の変更から、阿波選手はB級に降格してしまうなど迷走気味であり、チルト角度も1.0に設定することが大半だそう。
とはいえ徹底的にアウト屋を貫く姿勢からファンからも愛され続ける阿波選手。
今後の活躍にも要注目です。
小川晃司選手
出典:https://www.boatrace.jp/owpc/pc/data/racersearch/profile?toban=3857
名前:小川 晃司(おがわ こうじ)
生年月日:1968年6月20日
出身地:福岡県
階級:B2
支部:福岡
登録期:第62期
登録番号:3352
身長:160cm
体重:51kg
小川選手は、現役のアウト屋の中でも最年長の選手です。
前述の阿波選手にも影響を与えた小川選手がアウト家になった理由は、デビュー当初インコースに入る勉強をしていたところ中々うまくいかず先輩にも怒られる日々で、そんな中6コースからの出遅れをしてしまい、それならいっそのことずっと6コースでいこうと決めたことがきっかけだったそうです。
阿波選手よりも以前からアウト屋を貫く小川選手ですが、チルトの角度はそこまで攻めた角度ではありません。
小川選手はピットアウト後かなり大回りをして、横に構えてスタートを切るという独特なレーススタイルで戦っています。
得意な決まり手は「まくり差し」や「差し」なので、出足だけでなく道中でいかに捌けるかというところが小川選手の勝負所。
澤大介選手
出典:https://www.boatrace.jp/owpc/pc/data/racersearch/profile?toban=3857
名前:澤 大介(さわ だいすけ)
生年月日:1972年8月30日
出身地:三重県
階級:B1
支部:三重
登録期:第79期
登録番号:3852
身長:160cm
体重:52kg
澤選手は阿波選手と同期のアウト屋です。
2003年頃まではアウト屋ではなく、基本的に枠なり進入をする選手だったのですが、同期の阿波選手の影響を受けて徐々にアウト屋に転向!
なんでも阿波選手に伸びるペラを教えてもらったことがきっかけだったそうで、阿波選手と同じくチルト角度を上げるということも特徴的です。
ただ、近年持ちペラ制度も変更となり、アウト屋として肩身の狭くなってきた澤選手は思い切った行動にでました。
澤大介選手、アウト屋を卒業?
なんと、澤選手はアウト屋を卒業すると発表しました。
ソースはこちらの同期の坂口選手がやっているYouTubeチャンネルでの動画。
2021年3月2日のボートレース宮島から自在屋として再スタートを切りました。
結果、3コースからのまくり差しを決めるなど、好調にみえたのですがいよいよ1号艇が回ってきた4日目の8Rで、なんと5号艇にあの深イン真二こと深川真二選手が…。
見事にガッツリ前付けされつつも澤選手は1コースを死守、しかしながら結果は3着。
インコースの洗礼を受けてしまった澤選手でしたが、新しいレーススタイルでどんどん勝利を積み重ねていっており、アウト屋から卒業した今後の活躍にも期待大です。
アウト屋の選手達まとめ
持ちペラ制度が変更されたことで窮地に追いやられているといっても過言ではないアウト屋の選手。
卒業を発表した選手もいる中、それでも独自路線を貫くアウト屋の選手達が今後どのような打開策を講じてくるのか、今後も目が離せません!
アウトコースからのスタートだとダッシュ勢になるので逆にフライングのリスクが高そうっすけどね