ボートレースには「戦法」が大事
ボートレースで戦うレーサーたちは、もちろんむやみやたらに走っているわけではありません。
彼らもプロ。戦法を考えながらレース展開を進めているんです。
この戦法を読み切ることができれば、舟券を購入する際に有利になることも。
展開が何も分からないまま、ただ調子のよさそうな選手、モーターを選んでいてはなかなか勝率を上げるのは難しいのです。
どの艇の選手がどうやって勝とうとしているのか。
それを読むためには、まず決まり手について知ることが大切です。
基本の決まり手は6つ
「決まり手」とは、レースで1着になった艇の勝ち方を指します。
つまり、1着をとる選手がどんな戦法でレースを展開したかということ。
決まり手はコースごとに出やすさが違うため、スタートするコースによっても戦法は変わって来るでしょう。
決まり手は「逃げ」「差し」「まくり」「まくり差し」「抜き」「恵まれ」の6種類。
それぞれの特徴を詳しく解説していきます。
逃げ
逃げとは、1周目の第1ターンマークで最も内側の選手、つまり1コースの艇が1着を決めた時の決まり手です。
競艇では1コースの選手が圧倒的有利。
なぜなら最も内側のコースを走れるため、総合的な距離が短く、他の艇に抜かれにくいのです。
最も内側の艇が1着を決めた時の決まり手なので、逃げで勝てるのは1コースの艇のみ。
また、1コースからスタートした艇の決まり手はほとんどが逃げとなっています。
1号艇の選手の調子がよく、モーターも問題なければ逃げの可能性が高いと考えて良いでしょう。
差し
差しとは、1周目の第1ターンマークで他の艇を内側から抜かし、1着を決めた時の決まり手。
1コース以外どのコースからも決めることができますが、主に2コースの艇が決めることが多い手です。
2コースの艇が1着をとる際は、多くの場合決まり手は「差し」となります。
差しを決める際に重要なのは、選手の技術。
第1ターンマークでギリギリを攻め、他の艇よりも内側に入らなければならないので、操縦技術が必要です。
差しを多く決めている選手が2号艇にいる場合は、2号艇の1着に期待ができるでしょう。
とはいえ差しが多く決まっているかどうかは、出走表などでは見ることができません。
普段から選手の研究をしておくか、周回展示を見てチェックする、またレース前のコメントで出足についてのコメントがあるか見ておきましょう。
まくり
まくりとは、1周目の第1ターンマークで他の艇を外側から抜かして1着を決めた時の決まり手。
外側から内側の艇を抜かすには、スピードのあるターンが求められます。
また、スタートを早く決めることもかなり重要なポイントです。
まくりを決めやすいのは3、4コース。
1コース以外のコースでまくりを決めることができますが、3,4コースから1,2コースの艇をまくるシーンが多く見られます。
まくりを決められるかどうかは、選手のスタートが重要です。
もしくはインコースの艇がスタートを遅らせてしまった際も決まりやすいといえるでしょう。
選手の平均STを見て判断するのが良いと思われます。
また、スピードも注目ポイントの1つ。
モーターの伸び足が良くなければスピードが出ず、まくりを決めることができません。
伸び足が良く、スタート後になるべく内側に寄っていくことでまくりを決めやすくなるのです。
まくり差し
まくり差しとは、前述したまくりと差しの合わせ技。
第1ターンマークでいくつかの艇を外側から抜かした後(まくり)、なおかつ先行する艇を内側から抜かし(差し)、1位をとるという決まり手です。
スピード、判断力、タイミングなど高度な技術が必要な、かなり高難度の決まり手といわれています。
まくり差しは1コース、2コースでは使うことができません。
3~6コースの選手が使う技ですが、特に5,6コースで使われることが多いでしょう。
かなり高度な技術が必要なので、選手の能力はしっかり見極めることが重要。
一流の選手が、調子の良いモーターで5,6コースから攻める場合はまくり差しが見込めるかもしれません。
抜き
抜きとは、1周目の第2ターンマーク以降で前にいる艇を抜き、1着をとる決まり手。
競艇では1周目の第1ターンマークで勝負が決まることが多い競技なのですが、それ以降に順番が変わることももちろんあります。
選手の技術力ももちろんですが、モーターの性能が良いと抜きが決まることも。
抜きは予想が難しいのですが、モーターの調子が良さそうであれば見込みアリ。
逆に先行する艇がスピードを落とすことで起こることもあります。
恵まれ
先行する艇が転覆や落水、失格などになり、繰り上がりで1着になったときの決まり手。
恵まれは予想することができないので、舟券を買う際にはあまり考えなくても良いでしょう。
偶然起こったらラッキー、と思うくらいで大丈夫です。
「マイ」って一体?
6つある競艇の決まり手をご紹介させていただきました。
それぞれの戦法の特徴を理解できたでしょうか。
決まり手と共に覚えておきたいのが「先マイ(さきまい)」や「ツケマイ」という言葉。
いったいこの”マイ“ってどういう意味なのでしょうか。
マイは、競艇の世界では「回る」という意味。
モーターの回り足を「マイ足」と言ったりすることもあります。
つまり先マイは先に回ること、ツケマイはつけて回ること、という意味。
それを踏まえてそれぞれの用語を詳しく見ていきましょう。
先マイ
先マイとは、他の艇よりも先にターンマークを回ること。
先マイをすると何が起きるのかというと、後ろを走る艇を引き波に入れることができるのです。
引き波とは、艇が走った後に残る波のこと。
先マイした艇の後ろにつくと、この引き波に飲まれてしまい、ボートを操縦しにくくなってしまいます。
よって先マイした艇は、後続する艇を引き離すことができるのです。
決まり手の1つである「逃げ」は、1コースの艇が先マイして1着をとる流れとなります。
1コースの艇が先マイしたからといって逃げ確定となるわけではありません。
内側をうまく差せば、他の艇が1着となることもあるのです。
ツケマイ
ツケマイとは、内側の艇にぴったりと自身の艇をつけ、強引に押さえつけながらも外側から追い抜くという戦法のこと。
まくりの一種として考えられています。
接触事故にもなりえる危険な技で、高難度。
ただ決まると観客がワッと湧くほど華やかな技とも言えるでしょう。
決まり手を予想する際の注意点
決まり手を予想する際は、そのレースを総合的に判断する必要があります。
主に気にしておいた方がいいのが
・選手
・モーター
・競艇場
の3つです。
選手
選手にはそれぞれ得意な決まり手があります。
ターンの仕方や技術など、周回展示でしっかり見極めておきましょう。
出走表でフライングの数や平均ST、勝率を見ておくことも重要です。
モーター
モーターの性能は、決まり手に大きく関わってきます。
出足が良いものであれば逃げや差しが決まりやすく、伸び足が良ければまくりが決まりやすいのです。
モーターの情報は出走表や展示航走でチェックしましょう!
競艇場
競艇場によっても決まり手の出やすさは異なります。
水面の特性や風の強さなど、条件が変わってくるのです。
例えば徳山競艇場ではまくりが決まりにくかったり、戸田競艇上では逆に決まりやすかったり。
競艇場の条件によって決まり手の出やすさは変わってくるので、そこもチェックしておくと良いでしょう。
初心者でも予想しやすい戦法
競艇初心者でも予想しやすいのは、「逃げ」。
1号艇に強い選手、良いモーターが揃っていれば、かなりの確率で逃げを展開してくれるはずなので、まずは逃げの予想をしてみるのがおすすめです。
まずは1着を当てるというやり方であれば、1艇1着が安定したレースを選んで買ってみると良いでしょう。
また、まくりが決まるとレースが荒れやすくなる傾向にあります。
そのため、まくりが決まるであろうと予想した場合は、2着以降の展開には注意しておきましょう。
知識があれば勝率アップ
ボートレースの予想は、6艇しかいないとはいえ一筋縄ではいきません。
どのような決まり手で、選手がどのようなレースを展開してくるのか。
そういった細かい部分まで予想を組み立てることで、勝率を上げることができるのです。
どのような選手、モーターのときにどのような展開になるのかは、ある程度経験が必要です。
レースが開催される競艇場によっても、決まり手の出やすさは変わります。
少しずつ知識を増やしながら、的中する予想を育てていきましょう!